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無慈悲なまでにダブルオー


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雪降る前の晩って、雷がすごかったりしますから。




「……………雷か」

 劈くようなすさまじい雷の音が聞こえた。近い。家も少し揺れたような気がした。
 アレルヤが少しだけ怖がっているようで、マイスターとして恥ずかしくないのかとティエリアはため息をついた。

「君は雷が怖いのか」
「ビビりだからな、こいつ」「ハレルヤ!」「ほんとのことだろ」
「お前ら。どっちでもいいから、さっさと寝る準備を始めろ」

 相変わらずテンポがいい。見かねたロックオンが話題を逸らす。本音も混じっているだろうが。
 夜十時となれば、もう十分に寝てもいい時間である。とはいえ、まだ荷物が届いてほとんど手をつけていない状態だから、これから布団がどこにあるのか漁るのだけれど。

「風呂の準備は出来た」「さんきゅ」
「ティエリア先に入ってこい」「なんで私が?」「お前さん、変なところできれい好きだから」
「おれぁ、さっさと寝る」「自分で布団出してね」「わかってら」
「…………………はぁ」

 やはりこの会話には入れそうにないと刹那は再び認識した。取りあえず、与えられたミッション(風呂掃除)は終えた。やらなければならないことが出来ていれば問題はない。
 自分の分だけでも布団と着替えを出しておこうと思い、自分の荷物が詰められている箱に手を伸ばした。

――――ドオオォォォォォオオン!!

 これまでにないというくらいの音をたてて雷が落ちたようだった。窓がビリビリ鳴る。
 アレルヤが「うわっ」とあせったような声を出したのが聞こえた。

「明日は、雪だな」「え、雪!?」
「冷えるな、明日は」「おい、ハレルヤ、外の水道の水流しっぱなしにしとけよ」「はぁ?」「凍るだろ」

 しかし落ちるな、と刹那はつぶやいた。寒いのはあまり得意ではない。それは生まれが影響しているのだろう。たぶん。
 毛布は幸いにして、わかりやすい所に入れてきていたので、外が冷えても暖かくして寝られそうだ。(ここでちらりとロックオンを見ると、彼は敷布団しかひいていなかった。刹那は呆れて溜息しか出なかった。)
 ティエリアはしばらくしてお風呂から出てきた。アレルヤハレルヤが後に続き、その後が刹那。最後がロックオンだ。
 ティエリアが自分の布団をひいて(ここですかさず刹那はティエリアの布団をチェックした。どうやら彼も自分と同じく布団の準備は万全のようで、刹那はほっとした)、お風呂から上がったアレルヤとハレルヤが「布団はどこだ!」と探しているのと、ロックオンが刹那の布団を取ろうとしているのを見て、叫んだ。

「貴様ら、いっぺん死んでこい!!」

 マイスターズの夜は長い。

つづく(ぇ


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