それを愛と呼ぶなら ０

2008年09月25日に移転前のサイトで更新したものです


略して「愛と呼ぶ」
ロク刹前提ロク←刹を目指して

 

 

　あいつはいつだって優しかった。俺がどんな失敗をしても、あいつを見捨てても、あいつは笑ってそれを許した。
　なぜだ、と問うたことがある。あいつは冗談交じりに「愛だよ」と答えた。わからないと言うと、すごく幸せそうな、それでいて悲しそうな顔をしていた。
　「刹那」と俺の名を呼ぶあいつの声が、俺は好きだった。一度だってそれを教えることはなかったけど、それでも伝わっていたんだろうと思う。いつだってその声に応えようと名を呼ぶと、いつだって笑みを返してくれたから。
　木綿の柔らかい綿にくるまれて、絶対に守られてる安心感に似たなにか。傷ついて傷つけて、それでも一緒にいたいと思う切なさを含んで。
　それを、『愛』と呼ぶなら。