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無慈悲なまでにダブルオー


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2008年10月15日に移転前のサイトで更新したものです。

眠いです。そういう時に限って、更新しようとする私。
いつまでも学ばない人間でございまして(笑
いつのまにか、カウンタの数字が少しづつ変わっていくことに驚きを隠せない
 





 

 

 目の前に立っていたのは、あの日大切な人を亡くしたと泣いた幼い子どものはずだった。

「せ、刹那なの………」

 あの頃の彼はもうどこにもいない。どこか脆くて頼りないあの子どもは、この四年の間に思ったよりもずっと成長していた。少しまだあどけなさを残した顔も、今は引き締まって立派な青年だ。

「四年ぶりだな、スメラギ・李・ノリエガ」

 それでも、ほとんど変わっていないその声。
 会いたかった。…………会いたくなかった。
 刹那は生き延びてほしいと願っていたし、元気な姿でこうしてまた会えたのは嬉しいことかもしれないけれど。

「君何を言ってるんだい?彼女の名前は……」

 真実を知らないカタギリだけが場違いなほど浮いて見えた。穏やかな顔も、すぐに驚愕に彩られるんだろう。
 その先を言わないで、とスメラギは思った。この危うい均衡が崩れてしまう。唯一の逃げ場が、よりどころがなくなってしまう。
(私は、私はあそこに帰りたくない!)
 このまま殻に閉じこもって何がいけない。もう私はボロボロなのに。仲間を失ってたくさんの命を奪った罪だけを背負って、それは覚悟していたはずだったけれど、私には結局無理だったのに。

「コードネーム、スメラギ・李・ノリエガ。」

 カタギリの言葉を遮って、刹那は淡々と言った。そこには何の感情もこめられてはいない。それはあまりにも当然だと言わんばかりだった。

「ソレスタルビーイングの戦術予報士だ」
「ええっ…」

 ―――――ああ、もう私はどこにも行けない。

「これであんたの逃げ場はなくなった」

 告げられたのは、神の吐息に似た静かで残酷な決別だった。

 

 


(いつまでも襲いくる哀しさ。いつだってそれは付きまとってきた。
 どこへ逃げればいい。何をすれば忘れられる?私はまたこの戦場に舞い戻ってきて、見た仲間のクルーはみな輝いてる。私だけひとり、境界線の外側にいるような疎外感。それは私が作ったものであるはずで。
 なんでそんなに違うのだろう。失いたくないと思って、失うものがなければいいと思って、ああやって 逃げたのに。どうして逃げたままでいさせてくれないの。もう嫌なのよ、これ以上人が死ぬのを見るのは。
 刹那だって、もう私が必要なほど弱くない。不安定さも脆さもなくなって、もう一人で立っていける。私なんかもうこの艦には必要ないのに、どうして私はここに帰ってきた)

 

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