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無慈悲なまでにダブルオー


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2008年10月23日に移転前のサイトで更新したものです。

風邪気味。週末になるにつれて、私の周りの風邪ひき率がどうしてこうも上がっていくんだろう。
かくいう私もその一員と化しそうですが
早く寝ることにしたいと思います。
今週末は、両親が私の家にやってくるので、恐怖の英語Ⅱが終わったら、掃除をしたいと思います。as fast as I canです。ちょっと違うか。

ライルの性格がわからん。
ということで勝手に連載をストップしてますが、いつになったら更新できるかな(おい

 




 

 

 薄暗い部屋。一度だけ通った廊下はあんなに明るかったのに、当然の如く各部屋の窓は一つで随分と高い位置にある。少しだけは差し込む光は決して足元を照らしてはくれなくて、マリナは思わず自嘲の笑みを浮かべた。
(私は、どうしてここにいるの。………たった独りで)
 シーリンならばそんな顔はさっさとやめて出来ることをやりなさいと言うだろう。そんな顔あなたには似合わない、あなたは前を見てればいいのだと、私を奮い立たせるように言ってくれるだろう。
 誰かに会いたい。どうしてこんなことになってしまったのか知りたい。こんな暗い所では、考えもネガティブなままずるずると落ち込んでいってしまう。

「……………刹那っ」

 思わず口から出てきた一言に、一人では結局何もできはしないのだと思い知らされる。
 それは四年前自ら命を捨てるかのように戦いに挑んだ少年の名だった。彼は同じ平和という道を望んで散っていった。片手で数えられるほど出会った機会は少ない。戦うことで何かを成し遂げようとした刹那と、王女という立場から平和を促そうとするマリナ自身と、望む先は同じでもお互いのやり方を正しいと言い合うことはできなかった。憤りを感じて、睨みつけるように話をしたこともある。  
 それでもこうして名前を呼んでしまうのは、きっとその目があまりにもまっすぐだったから。刹那はあの真剣なまなざしで世界を見つめていた。これほどか、と驚いてしまうほどに。

「………会いたい、刹那」

 あの瞳は自分の迷いを見透かしてしまいそうで怖かった。けれど刹那は私を同じ道に立つ人として見てくれた。王女の私に期待するのではなく、マリナとしての私と同じ立場に立って話をしてくれた人だから。身体も心も強い人。だから刹那が好きだった。
 周りに支えてくれた人はいなくなって、一番会いたいと思うのは刹那なのだ。
 ――――ピンと背筋を張って、世界と向き合えるあの人に会いたいと。

 彼ならば、何かしらの答えをくれる気がした。どうしてこんなことになってしまったのかも、私は今何をしたらいいのかも。ただただ沈黙して部屋にいるだけの生活はどうしたら終わるのかということも。
 泣いてはいけないと思ったから、泣きはしない。けれどマリナは誰かに縋って泣きたい気分だった。
 手を強く握って手に痛みを感じた。それが私はここにいるんだということを強く感じさせた。痛い。ガンダムに乗って死んでいった彼の痛みはこんなものではなかっただろう。
 せめてあの強さが私にあれば。なんにでも立ち向かうあの強さがあればよかったのに。

 ゆっくりとベットに身を横たえて自分の手を見た。きれいな、戦いを知らない手。彼が戦いの先で何かを見つけたのだとしたら、私は戦わないことでしかわからないことを見つけたいと思った。
 それなのに、今私は何もできない。私は人のために何もできない。

 自分がひどく不甲斐なくて、切なかった。


 

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